静岡県立大学国際関係学部・松浦直毅(まつうらなおき)のページ

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静岡県立大学国際関係学部

日常生活

2012年度の振り返りと2013年度の予定

体調を崩してスタートからつまづき気味ですが、2013年度に入ったので、昨年度を振り返り、今年度の目標を立てておきたいと思います。

2012年度の振り返り

新しい職につき、多くのことを学んだ1年でした。教育、大学業務、社会活動に関しては、自分なりに十分にやることができたと思っています。とくに、学生実習を通じて、静岡の中山間地域について理解が深まり、いろいろな方々とのつながりを築くことができたのが収穫です。

研究活動は、主にこれまでの仕事を継続しておこなってきました。8~9月にガボンに渡航し、現地調査をおこないました。科研費(研究活動スタート支援)をいただくことができましたが、都合により2~3月にコンゴ民主共和国には渡航できず、今年8月に延ばしました。国内では、さまざまな研究会に参加したり、呼んでいただいたりしました。

研究業績は、職場が変わったことと、単著などが出て出がらし気味だったことがあるとはいえ、かんばしくありませんでした。本年度は、掲載はおろか投稿に至る論文もなく、7割くらい書いたのが1本という状態です。毎年1~2本ずつ、ちゃんとした論文をコンスタントに出すことが課題です。

2013年度の予定

執筆を中心にすえてじっくり過ごす1年にするつもりでしたが、すでにいくつか決まっていることもあってそうもいかず、あわただしくなるかもしれません。いろいろなところから声をかけていただき、使える資金にも恵まれているのはたいへんありがたいことであり、今はさまざまな仕事が楽しく感じられて、研究者として面白い時期であるとも思っているので、勢いよく進んでいきたいと思います。とりあえずの主な予定は以下です。

現地調査
4月22日~5月9日(ガボン)、8月中旬~9月下旬(コンゴ民)
もう1回くらいガボンに行くかもしれません。

学会発表等
・日本アフリカ学会第50回学術大会(5月25-26日、東京大学)
・10th Conference on Hunting and Gathering Societies (6月25-28日Liverpool)

あとは、生態人類学会事務局および3月の研究大会実行委員を務めます。これがなかなか大仕事になりそうです。
そのほか、7月に本務校でアフリカに関する大きめのイベントを計画しています。

参加プロジェクト等
JICA-JST国際科学技術協力事業(研究協力者)、科研基盤A(研究協力者)、科研基盤A(研究分担者)、
科研基盤B(研究分担者)、民博共同研究会、京大地域研共同研究会

目標
・執筆中のムカラバの獣害論文を早急に仕上げて投稿(4月)、今年中に掲載へ
・6月の学会のあと、バボンゴの社会変容に関する論文を書く(8月ころまで)
・夏の渡航後、ワンバの地域アソシエーションについての論文を書く(12月ころまで)

欲ばってもどうせできないので、この三つをきちんとやることにします。

ただ、もし欲ばるとしたら以下を追加しておきます。
・ムカラバ住民の資源利用に関する論文
・静岡市中山間地域の「地域おこし」に関する論文

【執筆】エッセイ

アフリック・アフリカのメルマガ6月号にエッセイを寄稿しました。

「売る・買う」がテーマでしたが、私も村の人もあまり商売っ気がないので、
何をあつかったらよいか苦慮しました。
結局、商売の話ではなく、お金を介した村の人とのやりとりや価値観のようなところをまとめてみました。

私は2本しか貢献していませんが、他の方たちのエッセイには面白いものがたくさんあるので、
興味のある方はアフリカ便りのページをいろいろと探してみるといいと思います。

購入書籍リスト2

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さっそく14日からは、ガボンとコンゴへの渡航です。

その前に特別研究員奨励費で書籍を購入しました。
いずれも洋書で総額52323円、コンサーベーション関係が中心です。
なんでそれを持っていなかったのという、狩猟採集民研究の超基本重要文献も含まれていますが。

今年の目標のひとつはコンサーベーションに関する仕事をきちんとやることであり、
ガボンの国立公園における獣害とその対策について論文を出せればと思います。

・Agrawal, A & C.C Gibson (2001) Communities and the Environment: Ethnicity, Gender, and the State in Community-Based Conservation. Rutgers University Press.

・German, L.A, A. Karsenty & A.M. Tiani (2009) Governing Africa’s Forests in a Globalized World. Earthscan.

・Igoe, J (2004) Conservation and Globalization: A Study of National Parks and Indigenous Communities from East Africato South Dakota. Thomson Wadsworth.

・Kelly, R.K (1995) The Foraging Spectrum: Diversity in Hunter-Gatherer Lifeways. Percheron Press.

・Lee, R & I. Devore (1968) Man the Hunter. AldineTransaction.

・McShane, T.O & M.P. Wells (2004) Getting Biodiversity Projects to Work: Towards More Effective Conservation and Development. Columbia University Press.

・Nelson, F (2010) Community Rights, Conservatioin & Contested Land: The Politics of Natural Resource Governance in Africa. Earthscan.

・Siddarth, D (2010) Traditional Methods and Community Participation in Forest Conservation: A Case-Study of Bhimashankar, Maharashtra. VDM.

・Torres, J (2010) Community Based Ecotourism and Conservation. Case Study: Cambok Community, Cambodia. Lambert Academic Publishing.

バカ・ピグミーのNGO代表来日

自身もバカ・ピグミーで、ピグミーの権利保護のためのNGO活動をしている
カメルーン人のMesse VenantさんがCOP10で来日されていたので京都に招いて講演をしてもらいました。

“La culture baka face à la mondialisation: quel avenir?”
(グローバル化に直面するバカの文化、その未来は?)

バカ自身が語る、彼らをとりまく問題や将来に関するはなしは大変重みがありました。
自身が小学校の教師をしていたこともあり、教育の問題を強調していました。

そのあと、本人の希望で京都市長を表敬訪問してきました。
急な話だったのですが、多忙な中で貴重な時間をさいて快く迎えてくださいました。

私たち日本人研究者は毎年大勢が調査に出かけていますが、
ピグミーが来日するのは初めてだったのではないでしょうか。
今後は、彼らとどのように交流・協力をすすめながら研究活動をすすめていけるかが、
ますます重要になると思います。

その他近況
・このあいだはじめて査読依頼というのを受けてがんばって返したと思ったら、立て続けに別の依頼がありました。
研究者としては光栄なことですが、今度の方はいろいろな意味で手ごわそうです。まあぼちぼちやります。

・バボンゴの歴史的な変化に関する論文を書いています。収集してきたばかりのデータを扱うのもワクワクしますし、
過去のデータを分析し直して新しいことがわかってくるというのも楽しい作業です。
とったばかりの魚を刺身で食べるのと、干物にしてとっておいた魚を焼いて食べる感じでしょうか。

一方、文献、とくに英語やフランス語の古い文献を調べるのは骨が折れます。
例えるなら料理の下準備というところでしょうか。こちらもぼちぼち進めていきます。

・モンペリエの会議でネットワークができたガボンのピグミー研究者のあいだで、
論文集を出す方向で話が進みつつあります。待望のガボン本(がぼんぼん)がいつ出ることになるか楽しみです。

・年内は日本でデスクワークに励みます。
いまのところの予定では、1月中旬ころから2ヶ月ほどガボンに行こうと考えています。

【講義】西宮今津高校、京都府立大学

出前授業をふたつしてきました。

・「アフリカ熱帯林の自然と人々の暮らし」(10月13、14日)西宮今津高校
アフリック・アフリカのメンバーとして西宮今津高校で授業をしました。2006、2007年に続いて3回目です。

授業では、アフリカ熱帯林の動植物のクイズを何問か出したあと、ピグミーの生活、野生動物、
自然保護の状況とその問題について話しました。それにしても高校の雰囲気は懐かしくてワクワクしますね。

・「アフリカ熱帯林の自然保護と食糧問題」(10月19日)京都府立大学

知り合いの先生に誘っていただいて、「現代の食糧問題」というリレー講義を1回担当してきました。
焼畑農耕、狩猟採集などのアフリカ熱帯林の生業と、(食糧問題というよりは)食生活を紹介したあと、
ムカラバの事例をあげて自然保護と住民生活をめぐる問題を説明しました。
熱心な学生もいてたいへんやりがいがありました。

最近は野生動物や自然保護の話をする機会が増えていますが、こちらももっと勉強をしつつ、
最新の調査の成果を合わせて、どんどん新しい話をしていきたいものです。

購入書籍リスト

特別研究員奨励費で本を買いました。総額で12万円ほどをありがたく使わせていただきました。

かなりたくさんまとめて買ったので、買ったのを忘れて同じものを買うことがないように、
そして、買ったからには(なるべく)きちんと読まねばという自戒をこめて、購入した書籍を列挙しておきます。

この機会を待って買い控えていたといいつつも、まだ持っていなかったのかと怒られそうなものもありますが。
本棚もあたまもすでに飽和気味ですが、英語とフランス語の文献をもうすこし追加するつもりです。

<和書>
・伊藤泰信(2007)『先住民の知識人類学-ニュージーランド=マオリの知と社会に関するエスノグラフィー』、世界思想社
・岩井雪乃(2009)『参加型自然保護で住民は変わるのか-タンザニア・セレンゲティ国立公園におけるイコマの抵抗と受容』、早稲田大学出版部  
・太田好信(2009)民族誌的近代への介入-文化を語る権利は誰にあるのか 増補版』、人文書院
・オーツ,ジョン(2006)『自然保護の神話と現実-アフリカ熱帯降雨林からの報告』、緑風出版
・奥野克巳他編(2009)『セックスの人類学』、春風社    
・春日直樹編(2008)『人類学で世界をみる-医療・生活・政治・経済』、ミネルヴァ書房
・河合香吏編(2007)『生きる場の人類学-土地と自然の認識・実践・表象過程』、京都大学学術出版会
・河合香吏編(2009)『 集団-人類社会の進化』、京都大学学術出版会
・岸上伸啓編(2009)『開発と先住民 みんぱく実践人類学シリーズ7』、明石書店 
・木村大治(2003)『共在感覚-アフリカの二つの社会における言語的相互行為から』、京都大学学術出版会 
・木村大治他編(2010)『インタラクションの境界と接続-サル・人・会話研究から』、昭和堂
・窪田幸子・野林厚志編(2009)『 「先住民」とはだれか』、世界思想社
・嶋田義仁他編(2001)『アフリカの都市的世界』、世界思想社
・竹沢尚一郎(2010)『社会とは何か-システムからプロセスへ』、中央公論新社  
・寺嶋秀明(2002)『森に生きる人-アフリカ熱帯雨林とピグミー』、小峰書店  
・西真如(2009)『現代アフリカの公共性-エチオピア社会にみるコミュニティ・開発・政治実践』、昭和堂 
・西﨑伸子(2009)『抵抗と協働の野生動物保護-アフリカのワイルドライフ・マネージメントの現場から』、昭和堂
・日本文化人類学会編(2009)『文化人類学事典』、丸善
・舩田クラーセンさやか編(2010)『アフリカ学入門-ポップカルチャーから政治経済まで-』、明石書店
・保苅実(2004)『ラディカル・オ-ラル・ヒストリ--オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践』、御茶の水書房
・松園万亀雄他編(2009)『アフリカの人間開発-実践と文化人類学 みんぱく実践人類学シリーズ2』、明石書店  
・松田素二(2009)『日常人類学宣言!-生活世界の深層へ/から-』、世界思想社
・松村圭一郎(2008)『所有と分配の人類学-エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学』、世界思想社
・丸山淳子(2010)『変化を生きぬくブッシュマン-開発政策と先住民運動のはざまで』、世界思想社  
・宮本正興・松田素二編(1997)『新書アフリカ史』、講談社
・宮本正興・松田素二編(2002)『現代アフリカの社会変動-ことばと文化の動態観察』、明石書店 

<洋書>
・Burley, J (2004) Timber Production and Biodiversity Conservation in Tropical Rain Forests, Cambridge University Press
・Dowie, M (2009) Conservation Refugees: The Hundred-Year Conflict between Global Conservation and Native Peoples, The MIT Press.
・Hulme, D. & W.M. Murphree (2001) African Wildlife & Livelihoods: The Promise and Performance of Community Conservation, Heinemann.
・Woodroffe, R. et al. (2005)People and Wildlife, Conflict or Coexistence?, Cambridge University Press.

【講演】京都外国語大学のユネスコ週間

参加しているNPO法人アフリック・アフリカの会員として、7月6日(火)に京都外国語大学で講演をしました。

ユネスコ週間というイベントで、「アフリカ熱帯林の先住民、野生動物、自然保護」というタイトルで話しました。

前半はピグミーの話、後半は野生動物と自然保護の話をし、さらに地域住民と保護活動のコンフリクトや、
開発や保護政策の影響によるピグミーの周縁化といった問題などを述べました。
映像や写真をたくさん用いたので理解していただけたかのではないかと思います。

質疑応答の時間を十分に残せなかったので参加者の方たちとあまり議論できなかったのは申し訳なかったですが、
活発に質問をもらえてうれしかったです。

大学での講義もそうですが、いろいろな人たちの前で話すことは、こちらにとってもよい刺激になり、
勉強することもたくさんあります。今回もたいへんいい機会になりました。

ガボンのピグミーなどに関して講演や授業のご依頼があればよろこんでお受けいたしますのでご一報ください。